【学 名】 | Anethum graveolens |
【分 類】 | セリ科・イノンド属 |
【別 名】 | イノンド |
【種 類】 | 一年草 |
【草 丈】 | 60cm~100cm |
【原産地】 | 地中海沿岸・西アジア |
【精油成分】 | カルボン、リモネン |
ディルの特徴
しゃっくりを止める効果
ディルの語源は、古代のスカンジナビア語で「鎮める」という意味の「dilla」が由来です。
古代エジプトから薬用に使われたハーブで、ギリシア人はディルにしゃっくりを止める効果があることを知っていたそうです。
漢方では「蒔蘿子(ジラシ)」という名で流通していて、鎮静作用と抗痙攣作用に優れているため、古くから嘔吐やしゃっくり止めに用いられていました。
ディルはフェンネルと似ていて見分けがつきにくいですが、草丈が60~100cmと1~2mフェンネルより低く、糸のように細かい切れ込みの入った葉はフェンネルに比べるとさらにきめ細かい印象。また、多年草のフェンネルに対しディルは1年草です。
同じ小さな密集した黄色い花が、傘というより直径20cmほどの平たいまとまりになってつき、卵形の平たい種子が実ります。
「禍害なるかな、偽善なる学者、パリサイ人よ、汝らはミント、ディル、クミンで10分1税として納めて、律法の中にても重き公平とあわれみ忠信とを等閑にす」(マタイ伝第23章23)
聖書のこの記述から、これらのハーブが税金の代用として重んじられていたことがよくわかります。中世では、聖ヨハネ前夜祭に黒魔術の魔よけとして盛んに用いられていました。
また、北アメリカへの初期の移住者は、長い説教を聴くときにこのハーブの種子をもらってかむのが習慣でした。
北欧の魚料理によく利用される
ディルは、フェンネルよりやや甘さが少なく、強めの枝や生の葉は魚料理や肉料理、サラダやオイル、ビネガーなどに使うと風味が良くなります。
葉や開花前の蕾は肉、魚、卵料理やスープ、ポテトサラダなどに、若い葉はバターやクリームチーズに練りこみ、種子や花は、ピクルスやビネガー、オイルに漬け込みます。
ディルの果実を乾燥させたものがディル・シーズで、精油成分はカルボン、リモネンです。
古くから薬として用いてこられたもので、芳香、駆風薬とされました。 鎮静作用があり、むずかる赤ちゃんにこの液汁を飲ませました。
乾燥させた葉やシーズを枕に入れると安眠が得られると言われています。
ディルの育て方
果実(シーズ)は湿らさないようにして保存する
植え替えを嫌うので、種を春か秋に直播するか株間を30cmほどとって植え付けます。
種まきは、秋まきの9月~10月がおすすめ。ディルは耐寒性があり、春に花が咲くまで長く収穫を楽しめるからです。
発芽後、生育に従って間引きして株間を空けていきます。
3月から4月の春まきの場合は、生長は早いのですが初夏にはとう立ちして花が咲いてしまうため、秋まきに比べ楽しめる期間が短めになります。
花が咲き終わって種を収穫するときは、ディルの果実が黄褐色になりかけた房をそのつど切り取るか、様子を見て、株を引き抜き、風通しのよいところに吊るしておきます。
乾燥後、花や葉、未熟果と果実(シーズ)を分けて、湿らさないようにして保存してください。