【学 名】 | Lavandula officinalis |
【分 類】 | シソ科ラバンデュラ属 |
【別 名】 | トゥルーラベンダー、コモンラベンダー |
【種 類】 | 常緑小低木 |
【草 丈】 | 60cm~100cm |
【原産地】 | 地中海沿岸 |
【精油成分】 | 酢酸リナリル、リナロール、ラバンデュロール、リモネン |
ラベンダーの特徴
ハーブの女王
ラベンダーはハーブの中で最も代表的なものの一つで、地中海沿岸地方原産の多年草、草丈は1mくらいになります。
一般的に知られているラベンダー色といわれる紫色の花色のほかに、濃青紫色、淡青色、桃色、白花など多彩な色が見られます。
古代ギリシャ・ローマ人はラベンダーを入れた湯で入浴しましたが、名前も、ラテン語のラベーレ(lavare,入浴する)に由来します。
ラベンダーは、花だけでなく茎葉など全草に香原料として人気の高い芳香成分を含有しているので、フランスやイギリスでは園芸(農業)や香料工業、観光用などの産業としても重要な植物になっています。
ハーブティー、エッセンシャルオイルのほか、入浴剤、観賞用、切り花、ドライフラワーとしても利用されています。
日本では、主に北海道の富良野地区や中部以北の冷涼地において栽培されていて、香料用のほか、観光用ガーデンや切花用生花、手芸用ドライフラワーなど、多角的に利用されています。
髪のリンスやハーブ・バスに
昔から、ラベンダーの香りには「神経を沈静化する効力がある」と言われてきましたが、近年の科学技術の進歩で脳波の検査や香気成分の測定などができるようになって、まさしくその効能があることが確認されています。
ほかにも、頭痛やめまいを治すとか、学名のラワンドラの由来が「洗う」であるように、髪のリンスやハーブ・バスに用いるとよいとされています。
石鹸をはじめ、ラベンダーの香りのする化粧品などが多いのは、このあたりから来ているのでしょう。
美容、健康面でデオドラント効果が高い
イギリスの本草学者ジョン・ジェラードは「偏頭痛やめまいを訴える患者の頭頂を、この草で洗う」という処方を、同じくイギリスの植物学者サー・ジェイムズ・スミスも「酒にこの草を混ぜたチンキは、優雅に薬をたしなみたい人々にとって、最良の一杯である」と言っています。
花、葉、茎の全草が香りますが、花の精油が最も上質で、産地別では英国のものが優れています。現代人の抱えているストレス、イライラやヒステリー、頭痛、めまいを穏やかに治し、不眠症、不安症に悩む人々にも効果があります。
美容、健康面でデオドラント効果が高く、消毒、抗炎、治癒作用に優れ、新陳代謝をよくすることが知られています。
また、肌質を問わず活き活きさせるローションとして用いることができ、にきび、やけど、脱毛症にも進められます。
さらに、ラベンダーには香りと同時に、虫除けの効能もあります。
昔、南フランスのグラースに住む手袋作りの職人たちは、地元特産のラベンダーオイルで手袋の材料の皮革を磨いていましたが、そのおかげで伝染病にかからなかったため、この話が広まってほかの地方の人々も競ってこのハーブを栽培するようになりました。
ラベンダーの育て方
苗から育て、水と肥料は控え目に
種まきからでも育てることはできますが、生育が遅く2年目からしか花芽が出ないので、苗を購入して植えるのが一般的です。
弱アルカリ性のやせ地で、やや日当たりがよく乾燥している方がよく育ちます。挿し木でも増やすことができ、その場合は春か秋の初めに行います。
枝先を7~8cm切って、下の方の葉を取り除いたものを水に入れたコップへ移します。10分程度水あげをしてから、挿し木用の土にさし、1週間ほど明るい日陰で管理し、少しずつ日当たりのよい場所へ移してください。
高温多湿な日本の梅雨が苦手なので、地植えの場合には畝を作ったり盛り土をして、水はけを良くします。鉢やプランターであれば、ゴロ土や礫を入れます。冬が-10℃以下になる場所では、北風を防いでやります。
枯らしてしまう原因の多くは水と肥料の与えすぎなので、控え目を心がけましょう。
香りを保つためには雨に注意
ちょうど開花のころ、本州などでは雨が多いので、ハーブとして品質の良い花を収穫するためには花に雨がかからない工夫をします。
鉢やプランターでしたら、雨のときには軒下に取り込むようにします。また、花が咲きだしたらできるだけ早く、葉を2~3枚付けて花茎を切り落とします。
ラベンダーは極端な酸性土を嫌いますが、かといって、むやみに石灰を加えるのも考えものです。土が固くしまってしまったり、肥料が効かなくなったりしますので、施肥をかねてアルカリ性肥料の熔性リン肥を施すくらいがよいでしょう。
冬越しさせる
ラベンダーは多年草なので、寒くなってきたら冬越しさせます。屋外では、株元にワラなどを敷いてマルチングし、暖かい日だまりで越冬させます。鉢植えであれば、室内に入れて日当たりの良い窓辺で管理します。
2年に一度、冬の間に株を強めに剪定し、枝の更新を行います。これは過繁茂を防ぐことにもなり、風通しを良くすることができます。
基本的に耐寒性はあるのですが、フレンチラベンダーなど寒さに弱い種類は室内に取り込んだ方が安全です。春が近づき寒さが緩んできたら、霜の降りない屋外で良く日に当てて、徐々に慣らしていきましょう。
ラベンダーは大きく5種類
ラベンダーは、大別すると次の5種類に分類できます。
①イングリッシュ系:Lavandula angustifolia など。(穂先に小さな花を並んで付ける)
②ラバンジン系:Lavandula×intermedia。(成長が早く収穫が多い)
③フレンチ系(ストエスカ):Lavandula stoechas など。(花穂が楕円形に膨らむ)
④レース系:葉がレースのような羽状。
⑤その他(カエトスタシス、スブヌダ):インドなどでしか見られない特殊なもの。
このように、学術上でのラベンダー分類は細かいのですが、一般的な園芸店では分かりやすいように3グループ程度に分けられています。
①穂先に小さな花を付ける一般的なラベンダー、②うさぎの耳またはリボンのような花を付けるフレンチ系ラベンダー、③葉がレースのような羽状になっているレース系ラベンダーの3つに分類されて売られていることが多いです。
①一般的なラベンダー:イングリッシュ系、ラバンジン系
②うさぎの耳またはリボンのような花:フレンチ系(ストエスカ)
③葉がレースのような羽状:レース系
うさぎの耳タイプ
エイボンビューラベンダー(Avonview Lavender)
最近、園芸店でよく見かけるようになった、花穂の先端に「ウサギの耳」のような飾り包が付くラベンダーは、フレンチ系(ストエスカ系)に分類されています。
フレンチラベンダー、スパニッシュラベンダーとも呼ばれていて、この種類は夏の蒸れにも強いのが特徴です。