【学 名】 | Calendula officinalis |
【分 類】 | キク科キンセンカ属 |
【別 名】 | キンセンカ、トウキンセン |
【種 類】 | 一年草 |
【草 丈】 | 30cm~60cm |
【原産地】 | ヨーロッパ南部 |
【精油成分】 | サポニン |
マリーゴールドの特徴
古代エジプトでは若返りの妙薬
マリーゴールドは、古代エジプトでは若返りの妙薬とされていました。
インドのヒンドゥー教徒は祭壇をこの花で飾り、ペルシアやギリシャでは美しい花びらを料理に添えてつけ合せや薬味としていました。止血剤や傷の治療薬に利用したり、サフランの代用品として料理の着色に用いられたりもしました。
語源はおなじみ「カレンダー」から
学名のカレンデュラは、カレンダーと同じ語源のラテン語「カレンダエ」(月の初めの日の意味)に基づくもので、花期が長くどの月の初めにも咲いていることから名づけられたものです。
種小名のオフィシナリスは「薬用の」や「薬効ある」という意味で、ヨーロッパでは古くから花を薬用に、葉を野菜として利用していました。
ポットマリーゴールドとマリーゴールド
ところでマリーゴールドには、ハーブに使う「ポットマリーゴールド(キンセンカ属)」と、においに癖があり成分も異なるため観賞用にされる「フレンチ・アフリカンマリーゴールド(マンジュギク属)」があります。(左写真は後者)
ポットマリーゴールド(キンセンカ)を単にマリーゴールドと呼ぶ人がいるので時に混同されることがありますが、ポットマリーゴールドは冬型でキンセンカ属、マリーゴールドは夏型でマンジュギク属と完全に別物です。
単にマリーゴールドという時は、南米産のクジャクギク(フレンチマリーゴールド・小型)やマンジュギク(アフリカンマリーゴールド・大型)のことを指し、こちらは観賞用でハーブとしては用いません。
あまりいい匂いはしないので、ドライフラワーにしてリースやポプリの彩りに使います。
英名のポットは食用にできる山菜・野草の意味、アメリカやイギリスでは食用や香味料にする植物を「ポットハーブ」(pot herb )と呼んでいます。
ハーブとして使用する方のマリーゴールド
ハーブではなく観賞用、土中改善
春先、園芸店で売られているものはフレンチマリーゴールドで観賞用
抗炎症作用、生肌作用に優れたハーブ
マリーゴールドは抗炎症作用、生肌作用に優れたハーブで、皮膚に対する働きはカモミールと同等、あるいはそれ以上かもしれません。
吹き出物を抑え、腫れをひかせ、痛みをとる効果に優れ、飲用や湿布、塗付して用います。ローションにすれば素肌をしっとりと滑らかにし、髪には美しいつやを与えるリンス剤になります。
また、17世紀の処方によれば、あらゆるタイプの解熱や心臓病にも使われていた記録があり、頭痛、歯痛、悪寒の治療薬にもなっていました。
金髪女性は、美しい金髪を保つためにこの花を用いました。花弁はシルクや羊毛の黄色系の染色にも適しています。ミョウバンを媒染剤として染めると、木綿に対してもきれいなレモンイエローに染まります。
花弁だけでなく、茎や葉も一緒に刈り込んで染めると褐色がかったグリーンが出ます。
マリーゴールドの育て方
摘心して脇芽を伸ばすと花つきが良くなる
よく日のあたる場所を好んで育ち、栄養豊富で水はけのよい土が適しています。
寒さにも強いので、秋に種をまくと年明けから晩春にかけて花が楽しめますし、植え付け後に本場が10枚くらい出た時に7~8枚残して摘心し脇芽を伸ばすと、花つきが良くなります。
うどんこ病、アブラムシ、ヨトウムシ、シンクイムシなどの被害を受けることが多いです。連作を避け、水をやりすぎず、株間を広めにとって風通しを良くすることが大切。アブラムシを媒介するアリにも、注意が必要です。
肥料に関しても、チッソ分の多い肥料は葉ばかりが大きくなって軟弱になり、病気になりやすくなったり体感力が落ちるので気を付けます。
次々と花が咲き続けるので、チッソ肥料を少なくする代わりに、リン酸分を多めに与えましょう。
生物農薬としての一面(フレンチ・アフリカンマリーゴールド)
通常のマリーゴールド(フレンチ・アフリカンマリーゴールド)には、根から地中の線虫の忌避成分を分泌するので大根畑などの”生物農薬”としての利用がすすめられつつあるほか、殺虫の効果も期待され研究調査が行われています。
地中のネマトーダ(ネコブセンチュウ)に殺菌効果があり、温室のコナジラミを防ぎます。野菜、果樹などのそばに植えると、強い香りが害虫を惑わせます。
なお、ポットマリーゴールドはキンセンカ属(カレンデュラ属)で別種のため、線虫駆除能力はありません。