精油(エッセンシャルオイル)とは?
精油(エッセンシャルオイル)は、「油」という文字が入っているものの実はいわゆる油脂ではありません。
水に溶けず、水より軽いため水面に浮く様子から油という表現が使われたものと思われます。
一般的な植物の油(オリーブ油、サフラワー油、ゴマ油など)は脂肪酸とグリセリンからできているのですが、精油は全く別の物質から成り立っています。
精油の定義
精油は「香りの元」といったイメージがありますが、実際には天然の化学物質である有機化合物が数重から数百種類集まっていて、それら有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質が精油(エッセンシャルオイル)と言われています。
植物は、まず光合成によって二酸化炭素と水から酸素徒党を作りますが、これを一次代謝と言います。
さらに、この一時代謝の過程で生まれたエネルギーを使って二次代謝を行い様々な有機化合物を作るのです。
その有機化合物の中には、例えばアルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、フェノール類、炭化水素類などですが、これらが精油の香りや働きに影響を与えます。
つまり精油とは、「植物から抽出した天然の化学物質が数重から数百種集まってできた有機化合物」であり、次のような特性を持っています。
精油の特徴
精油の主な特徴は、次の6点です。
①芳香性(香りを持つ)
②揮発性(空気中では蒸発する)
③脂溶性・親油性(水より軽く、水には溶けにくいが油によく溶ける)
④成分が濃縮されている
⑤様々な効用を持つ
⑥天然のものだが100%安全ではなく、毒性を示すものもある
なお、公益社団法人日本アロマ環境協会の精油の定義は、以下のようになっています。
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから抽出した天然の素材です。有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質です。精油は、各植物によって特有の香りと機能を持ち、アロマテラピーの基本となるものです。
なぜハーブは精油を分泌しているのか
精油は、カモミールであれば花、ミントであれば葉っぱから抽出されるように、植物全体に均一に含まれているわけではなく、特別な分泌腺で合成されて小さな袋状の油胞に蓄えられています。
植物によって芳香物質を合成する部位が違うため、精油の抽出部位もまた植物ごとに異なっているのです。
それでは、一体精油は何のために分泌されているのでしょう?一般的には、下記のような理由と考えられています。
精油が出る理由
①芳香物質によって昆虫や鳥を引き寄せ、受粉したり種子を遠くへ運んでもらう誘引効果。
②虫や鳥を遠ざけ、摂食を防ぐ忌避効果。
③カビや菌の発生を防ぐ抗真菌効果・抗菌効果。
④生存競争に勝つため、他植物の種子の発芽や成長を止めたり抑える。
⑤芳香物質を蒸発させて冷却し、太陽の熱から身を守る働き。
⑥情報伝達物質としてのホルモンのような働き。
⑦植物内で不要になった老廃物質。