【学 名】 | Mentha |
【分 類】 | シソ科・ハッカ |
【別 名】 | ハッカ |
【種 類】 | 多年草 |
【草 丈】 | 30cm~100cm |
【原産地】 | ヨーロッパ |
【精油成分】 | メントール、メントン、ピネン、メンチルエステル、リモネン |
ミントの特徴
清涼感でおなじみのミント
清涼感あふれる香りでおなじみのミントは、お菓子や飲料、化粧品、そのほか多くのものに利用されており、最も親しまれているハーブの一つと言えます。
日本でも昔からハッカの自生が見られていて、日本在来のハッカ(M.arvensis var.piperascens、ニホンハッカ、国外ではワシュハッカと呼ばれる)は、メントールの含有量が多く薬用としては大変優れていますが、お茶や料理にはメントール臭が強く、また味も苦味が強く、適しません。
この日本産のハッカに比べるとヨーロッパ産のペパーミントやスペアミントはメントールの含有量は少ないのですが、その分風味がよくいろいろなものに利用されています。
「禍害なるかな、偽善なる学者、パリサイ人よ、汝らはミント、ディル、クミンで10分1税として納めて、律法の中にても重き公平とあわれみ忠信とを等閑にす」(マタイ伝第23章23)と聖書にあるように、当時はミントが税金の代わりに納められていました。
ミントの伝説
ペパーミントは地中海地方の原産ですが、ギリシャ神話がミントの物語を伝えています。 それによると、ミントはその昔、ミンテ(属名のMentheに由来)というニンフでした。
ギリシア神話によれば、冥府の王ハデス(ポセイドンとゼウスの兄)は、コキュートス川のミンテに強く惹かれていました。
しかし、それに気付き嫉妬に狂ったは妃ペルセポネ(花の女神)は、「お前などくだらない雑草になってしまえ」とミンテを踏みつけて呪いをかけ雑草に変えてしまいました。
そこでハデスは、ミンテをかわいらしく芳香を放つ薬草(ミント)に変えてやったのでした。その後、ミントはハデスの神殿の庭で咲き続け、今でも人々に自分の居場所を知らせているのだと言われています。
ただし、この物語には違う解釈もあります。
それは、ペルセポネ自身が森で花を摘んでいるときハデスに誘拐されて妻とされたので、ミンテを不憫に思って助けたというものです。
草となったミントは、日の光が当たるたび、良い香りで自分の居場所を知らせるようになりました。 なお、実際にはペパーミントはウォーターミント(M.aquatica)とスペアミントの交雑種と言われています。
産業界では、菓子類や練り歯磨きなどで広く活用
ミントは、イタリア・アメリカ合衆国・日本・イギリスを含む世界の多くの土地で栽培されています。
ペパーミント精油の産出量が一番多い国はアメリカ合衆国ですが、イギリス産の油がほかのどの国のものよりも、品質が優れていることは広く認められています。
ペパーミントは菓子類や練り歯磨きなどの形で、産業界で広く用いられています。
古代ローマの博物学者で『博物誌』を著したプリニウスは、ギリシャ人とローマ人は宴席でペパーミントで頭上を飾り、またソースとワインとに香りをつけるために使用したと述べています。
ペパーミント精油はさまざまな種類の皮膚の炎症・瘡痒症をなおしますが、この場合には低い濃度(1パーセント以下)で使用する必要があります。そうしないと、炎症はますます悪化してしまうので注意してください。
体の冷却作用
ミントは、毛細血管を収縮させることによって体を冷却します。そのため、皮膚をリフレッシュさせるトニック剤としても非常に有効です。
これは、非常に爽快でリフレッシュ効果のあるバスオイルになり、夏に体を涼しくするのを助けてくれます。
また、ペパーミントには蚊とネズミを追い払う効果があります。
ミントの育て方
地下茎でほかの植物を圧倒するほど増える
良く日のあたる場所から明るい日陰となる場所でよく育ち、やや湿り気のある土が適していますが、多年草のうえ丈夫で育てやすいハーブです。
繁殖は種からでも行えますが、風味にばらつきができるので挿し木または株分けで行った方が無難です。
また、ミントは性質が強いのでほかの植物を圧倒して増えてしまいます。地下茎ではびこりますので、ミント同士を植える場合には株間を1m以上空けるようにします。
あるいは、あちこちと広がらないようにブロックなどで仕切りをして植えるなどの工夫が必要です。
ミント類は交雑しやすく、こうした種子をまくと親の形質とは異なった香りも形態も様々なものが現れます。
そのため、種子ができる前に花穂を切り戻したり交雑種は選抜して良質のものを増やす、などの工夫が必要です。
風通し良く管理する
寒さには強いのですが、極端な乾燥と蒸れが苦手です。梅雨時から真夏にかけてはうどんこ病にかかりやすい時期なので、収穫を兼ねて葉や枝を取り、風通し良く管理しましょう。
収穫しても、次々と新葉が出てくるので心配いりません。
ペパーミントやスペアミントは通気性が悪いとサビ病にかかりやすくなるので、もし病気にかかった場合は、その枝を切り取って処分します。
ミントの種類
ミントの種類は約30種類ありますが、交雑種も多く種名の特定が難しいものがあります。ほとんどは根茎で繁殖します。
楕円形か卵型の鋸歯緑を持つ葉が対生し、白色から薄紫色の花を穂状に咲かせるか、輪生します。強健種が多く、どこでも育ちます。
ペースにミント独特の清涼感のある香りが、どの種類にも感じられます。複数種類のミントを近くに植えると交雑しやすいので注意します。
主なミントの種類
ペパーミント | ピリッとするほど強い清涼感がある、ミントの代表。綿ソール分を多く含んでいて、お菓子、料理、デザート、飲料、化粧品、歯磨きなどあらゆるものに、味と香りが活かされています。 |
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スペアミント | ペパーミントと並んでミントの代表格。清涼感の中にも甘さを含んだ香りがあります。お菓子や料理の香り付けなど、利用範囲の広いミントです。 |
アップルミント | 葉が丸く、明るい緑色で、りんごの甘い香りがします。ハーブティー、サラダ、ポプリなどに。 |
オーデコロンミント | 葉が大きく、濃い緑色で、茎が紫がかっています。オレンジに似たすばらしい香りです。ハーブティー、ハーブバスなどに。 |
オレンジミント | 葉に光沢があり、オレンジの強い香りがします。ハーブティーに。 |
カーリーミント | スペアミント系の一品種で、葉が縮れています。 |
クールミント | ガムなどで有名なミント。葉のふちがノコギリのようにぎざぎざになっています。清涼感のある香りを一年中楽しめます。 |
パイナップルミント | アップルミントの斑入り種をパイナップルミントと言い、葉に白色またはクリーム色の縁取りがあります。ハーブティーやガーデンの彩りに。 |
バナナミント | バナナの甘い香りを活かし、ハーブティをはじめクッキーなどのお菓子作りに利用します。 |
ブラックミント | 葉と葉脈が紫色で、つやがあります。ハーブバスに。 |
ペニーロイヤルミント | 地面を這うように伸びるハーブで、庭に植えると、香りの芝生を作ってくれます。強い香りは防虫効果もあると言われています。 |
ハーツペニーロイヤルミント | ペニーロイヤルミントと異なり、細長い葉が特徴。アリやノミなどの虫に忌避作用があると言われています。 |
※ペニーロイヤルミントとハーツペニーロイヤルミントは、毒性があるため飲用・食用は原則不可。一般的には、ポプリに入れて防虫剤として利用します。
日本のハッカ(薄荷)
和種のハッカ(薄荷)は、葉のメントール量が多いペパーミント系、スペアミント系は甘い香りが特徴のカルボンが多いタイプです。
ハッカは、葉から油を採ると、運ぶ時に荷が少なくて済むことから「薄荷」という名前が付きました。
ニホンハッカ | ペパーミント | スペアミント | |
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学名 | Mentha piperita | Mentha piperita | Mentha spicata |
分類 | シソ科ハッカ属 | シソ科ハッカ属 | シソ科ハッカ属 |
和名 | ハッカ | セイヨウハッカ | ミドリハッカ、 オランダハッカ |
主成分 | l-メントール:65~85% | l-メントール:45~60% | l-カルボン:60~65% リモネン:約10% |
・ペパーミント系(ペパーミント、ワシュミント)
メントールの含有量が多い
・スペアミント系(スペアミントやアップルミント、パイナップルミント)
カルボン(芳香成分)が中心
【メントール含有量】
ニホンハッカ>ペパーミント>スペアミント(メントール成分なし)
精油名 | 香気成分 | 主な用途 |
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ペパーミント油 | l -メントール(45~60%) メンチルエステル類(3~10%) メントン(15~25%) メントフラン シネオール(6~8%) | 食品香料 化粧品香料 医薬品香料 歯磨き用香料 |
スペアミント油 | l -カルボン(60~65%) リモネン、フェヘランドレン、ジヒドロクミニルアセテート、リナロール、カルベオール、メントール | チューインガム香料 歯磨き用香料 |
ハッカ油 | l -メントール(65~85%) 酢酸メンチル(3~6%) メントン(6~15%) | 医薬用香料 歯磨き用香料 チューインガム香料 タバコ用香料 |
質 問 と 回 答
Q.質問 収穫のタイミングや摘み方は?
A.回答 摘心も兼ねて下葉から数えて2~3節くらいまでを切り取り収穫すると、枝分かれしてさらに芽が出て増えていきます。
茎を切りつめて切り戻す場合は、根元から20センチくらいまでを残して上を切り取ってください。
切り取ることで株をさらに大きくできますし、切り取った枝を指し気にして株を増やすこともできます。
Q.質問 病気や害虫の対策は?
A.回答 ミントの病気で多いのは、葉の表や裏にオレンジ色の斑点が付く「サビ病」です。春先や秋の初めに多く出ますが時期が過ぎれば収まるので反転の付いた枝葉切り取って捨てます。
害虫は、新芽にアブラムシが付くことがあり、手で取るかこすり落とします。たくさん付いているようなら、枝ごと切り取った方が良いでしょう。
Q.質問 他のハーブとの寄せ植えをしたい
A.回答 ミントは根を張るので、寄せ植えすると他のハーブの繁殖を妨げることがあるため、あまりお勧めできません。
ミントを混ぜたいのであれば、鉢に植え分けて並べるなどした方が無難です。